紙で革の代用?擬革紙とは何だ。
みなさん擬革紙ってご存知でしょうか?
写真:「うるわし」より
私も入社するまで知らなかったのですが、江戸時代には高価な天然皮革の代わりに紙を使用したそうです。
それが、"擬革紙"と呼ばれるものです。
今日はそんな擬革紙のことについて共有したいと思います。
天然皮革の代用としての紙
紙といっても、普段私たちが使うコピー用紙やメモ帳の紙では、すぐに破れてしまいます。
では、擬革紙はどんな紙なのか。
まず、使う紙は長い楮の繊維を絡めた"手漉きの和紙"です。
楮の写真:「うるわし」より
その和紙にこんにゃくのりを揉み込み、揉んであげると、縫製の出来る強い紙に。
そして、その和紙にさらに柿渋を何度も塗り重ね、強度を増した和紙が擬革紙として使われます。
長い道のりですね。
単純に天然皮革のような見た目をしている紙を擬革紙と呼ぶこともあるのかもしれませんが、実際に天然皮革の代用とするにはここまでの作業が必要なのですね。
天然皮革が使われている物といえば、
お出かけをウキウキさせてくれるような"バッグ"などの服飾雑貨
長年にわたって生活を共にするソファなどの"家具"
上記のような長年にわたり、手入れしながら大事に使用するものが想起されるのではないでしょうか。
先述したレザー製品が、使い始めた当日に破損して使えなくなってしまったら、それを次も「買いたい」「使いたい」と思うでしょうか?
私だったら、使いたくないです。
高額だったら尚更ですよね。
レザーの代用となると、「紙だからこの程度でもしょうがない」というような品質ではダメでしょう。
シビアな目で見られるのでハードルは非常に高いと思われます。
ヴィーガンレザー
天然皮革の代用と言えば、みなさんもよくご存知の合成皮革(基布に合成樹脂をコーティングしたもの)や人工皮革(マイクロファイバーにポリウレタン樹脂を沁み込ませたもの)などがありますが、これは石油由来のものです。
環境意識が欧米などを中心に高くなっている今、注目されているのが"ヴィーガンレザー"と呼ばれる植物由来のものです。
最近だとマッシュルームレザーのMylo™️などが有名ですね。
写真:Bolt Threads ホームページより
このMylo™️に関しては、見た目や触り心地が天然皮革のようであるという風に言われていて、有名ブランドとのコラボレーションも数多く発表されています。
日本では、土屋鞄製造所(以下、土屋鞄)がパートナーシップを結び、共同開発を行なっていると発表されています。
土屋鞄といえば、革の質に特にこだわっているイメージがあると思います。
その土屋鞄がここまで惚れ込んだ素材となれば「Mylo™️ってすごそう」と期待してしまいますね。
天然皮革の代用という観点で見ると 、素人目にもMylo™️のようなヴィーガンレザーが優れているような気がします。
紙が活躍していくには、天然皮革やヴィーガンレザーとは異なる「紙ならでは」の質感や個性で勝負していくしかないと思います。
見た目や質感を天然皮革のように見せるという"代用"というフィールドでは既存のヴィーガンレザーの圧勝に終わるでしょう。
マッシュルームレザーの他にも、パイナップルレザー・アップルレザー・グレープレザー・サボテンレザーなどが存在しています。
おわりに
今日ご紹介した擬革紙も、もしかしたら世界的に注目される日が近い将来やってくるかもしれませんね。
レザーの代替については、動物の皮を使ったレザーとヴィーガンレザーそれぞれに良い部分・悪い部分があるのが現状かと思いますが、
個人的には、地球環境にとってより良い発展が今後続いていくことを期待してしまいます。
今後確実に起こってくるだろうこととしては、既出のヴィーガンレザーの価格が低下していき様々なブランドの選択肢になるということ。
つまり私たちの生活の一部になってくるということです。
その中で和紙が自分の立ち位置を確立して一つの選択肢になることができるか。
これからが楽しみですね。
もし興味ある方がいたらぜひ色々調べてみてください!